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大学にも慣れてきたこの秋、俺はバイト先でユーリスという少年に出会った。
彼はまだ高校生なのにもう一人暮らしを始めていて、歳の割にとてもしっかりしている。
対して俺はよくドジを踏むのだけど、そんな俺をユーリスは「かわいい人」と笑う。
ずっとその一言が納得いかなくて、ある日やっと言い返す言葉が見つかったので
「かわいいのはそっちだ」と言い返したら意外にも彼は顔を真っ赤にしてしまった。
俺も自分の発言の違和感に気付いて顔が熱くなる。
ははは、とお互い照れくさくなって笑ってみれば
彼から「好きだよ」と一言。
「まさかユーリスから告白されるとは思わなかったよ」
「だって、君が急にあんなこと言うから…勢いで」
バイトが終わり、一緒に帰る。
あの日から俺たちは付き合い始め、こうしてシフトを合わせて生活時間帯が違う中で
少しでも一緒に居られるようにしているのだ。
「今日は冷えるな…ユーリス、そんな薄着で寒くないのかい?」
「ん…大丈夫だよ。 あ、見てエルザ、雪降ってきた」
「ほんとだ!綺麗だね…こりゃ本格的に寒くなって来たなぁ」
「エルザは寒がりだね」
「うー、暑いのは平気なんだけどな。お!あれは…ユーリスちょっと待っててね!」
「え、ちょっとエルザ!?」
急に走りだした俺に驚いてるユーリスを残し、
あるものを見つけた俺はそこに向かう。
目的地に着き用を済ませると、恋人はもう俺のすぐ後ろに追いついていた。
「はい、ユーリスにコレあげる!」
「急に何かと思ったら…全く」
手渡したのはホットのおしるこ。そう、俺が見つけたのは自販機。
呆れつつも思ったより嬉しそうな顔をしてくれている恋人が愛おしくて
思わず抱きしめてしまった。
あたたかい。ユーリスは子ども体温なんだね。
急に抱きしめられて驚いた。
僕よりも背の高い彼の大きな背中を見つめては抱きつきたい衝動に
駆られていた僕だったが、同性同士なのにそれは…と気が引けていた。
それだけに、彼からこうして抱きしめてきてくれたことがとても嬉しかった。
冷たい手。本当に寒かったんだね、エルザ。
「ユーリス大好きだよ」
「ん…僕も。大好き」
ずっと一緒にいられればいいのに。
遠くから聴こえるジングルベル
来年も、再来年も、また二人でこの音楽が聴けますように―
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